キンモクセイ(仮)
家事練習

おはよう

窓の外には青空が広がり、チュンチュンと雀が朝を告げている。
だが、私の携帯のアラームは沈黙を貫いている。
今日は土曜日だから、仕事はお休み。
だから私も今日はお布団ともう少し仲良くするのだ。

「おはようございます、来春様」

誰かが私を呼んだようだが、気のせいだ。
それくらいじゃ私は起きないもん。


来春の寝室に入り声をかけるが、反応がない。
目の前で無防備に寝る来春。
昨日までは見ることの出来なかった顔。
このまま飽きるぐらい見ていたいが、仕事もしなければならない。
顔を耳元に寄せ、キミの名前を呼ぶ。


「来春様、来春様」

優しい低い声が私を呼んでいる。
誰だろうと目を開けてみると、目の前には瞳人の顔があった。
にこりと瞳人は笑って、私の頭を撫でた。

「おはようございます、来春様。朝食が出来ていますので、起きてくださいますか?」
「は、はい!」

がばっと起き上がると、笑って瞳人は部屋を出て行った。
起きたばかりなのに走った後のように心臓がドキドキして、顔が熱い。
な、何今の起こし方!
恋人たちの甘い朝な感じがするんだけど…!
これ、これから毎日続くの?!
ぼすっと布団に顔を埋め、顔のほてりが鎮まるのを待ってリビングへ向かった。
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