ゆりかご
お昼ご飯をテキトーに済ませてからは、再びソファーに転がった。

グダグダじゃんあたし……早くバイトでもしなきゃ。

「…。」

目を閉じて、コータローの走る姿を想像するーーー何だろう、この感じ…。

誰ともわからない誰かと、記憶の中で被る。

そういえば、コータローを初めて見た時も、前から知ってるような不思議な感覚に包まれたんだった…。

変なの。

「……。」

首をかしげながら、うーんと唸って考えてみたけと、やっぱりわからなくてスグに諦めた。

テレビの内容がイマイチなのにつけっぱなしで、ろくに見もせずにケータイでゲームをしてるあたし、お母さんが見たら怒るだろうな…。


そろそろ支度でもしようかな…。

翔矢からメールの返信はまだないけど、そろそろ大会が終わっている頃だと思うから。

あたしは部屋に戻って、メイク道具を引っ張り出した。

< 181 / 272 >

この作品をシェア

pagetop