私を本気にさせないで
チラッと隣に立っている大森君を見れば、まるで少年のように目をキラキラと輝かせていた。

「部長!それって確かクリスマスケーキ教室でしたよね?」

「なんだ?大森君は甘いものが好きなのか?」

「はい!」

子供のように喜ぶ彼の姿に、部長も豪快に笑っている。

本当、こういったところは年下全開だよね。

でも他人の懐に入り込むスキルは見習いたい部分でもある。
大森君の手に掛かれば、どんなに気難しい人とでも簡単に打ち解けられてしまいそうだし。

「楽しみですね!白田先輩!」

「そっ、そうね……」

満面の笑顔を向けられて、面食らってしまう。

だけどこうやって笑顔でいられるのは、本当の大変さを知らないからだ。
そもそも催し物を仕切ることを命じられた時点で、しばらくの間は残業続きになることを覚悟しなければならない。
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