私を本気にさせないで
「そっ、そんなわけっ……!」

「それともさっきの続き、して欲しいんですか?」

一瞬にしてさきほどの色っぽい表情を見せる彼に、カッと顔が熱くなる。

「バッ、バッカじゃないの!?」

動揺している自分を悟られたくなくて、捨て台詞と共に勢いよくエレベーターから飛び降りた。

「またね」

背後から聞こえてきた声にますます私の身体は熱くなるばかり。
だけど一切振り返ることも、彼に文句を言うこともせず、ひたすらエントランスに向かって全力疾走し、そのまま最寄り駅へと駆け込んだ。
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