私を本気にさせないで
「仕事に対する姿勢には尊敬しちゃうし、誰にでも分け隔てなく接するところには好感を持ってしまったし。……そして何より、白田先輩の笑った顔だ大好きなんです」

次の瞬間、大森君の大きな手が急に頬に触れたものだから、一瞬目を瞑ってしまった。

けれどすぐに瞼を開ければ、大森君は変わらず愛しそうに私を見つめている。

キスされているわけじゃないのに、ドキドキして仕方ない。
なのに大森君ってば、さらに私のドキドキを加速させるようなことを言ってきたんだ。

「この笑顔、他の誰にも見せたくないって思いました。……白田先輩のこと、誰にも渡したくない」

「……っ!」

そんなこと言われても困る!
なのに頬に触れる手を振り払えないのは、間違いなく私が彼――大森君に惹かれているからなんだ。


大森君に見つめられたまま、それ以上私はなにも言えなくなってしまった。
< 59 / 125 >

この作品をシェア

pagetop