私を本気にさせないで

「本当に呆れ果てるわ。普通さ、自分の真剣に告白してくれた相手を残して、会議室を飛び出すか？」

責め立てるように言う弥生に、言い返す言葉さえ見つからない。
だって本当のことだから……。

甘い瞳で見つめられ、何も言えなくなってしまった。
それどころか同じ空間にいることさえも苦しくて仕方なくて、気付いたら会議室を飛び出してしまっていたんだ。

「しかもなに？一日経ってもまるで小学生のように大森君に謝れていないだと？」

「だって……！……本当、なんかもう顔を見るだけでも苦しくて」

するとますます弥生は呆れたように息を吐いた。

「大森君に心底同情するわ。……いや、むしろ菓子折りを持参してあんたの代わりに謝罪に行きたいくらいよ」