放課後コイ綴り
さらさらの黒髪は少し短めのマッシュふう、といった雰囲気。
きめ細やかな肌に、薄い唇。
制服のジャケットと白いシャツの下から覗く、喉仏と鎖骨が目立つ細身の身体が色っぽく。
落ち着いたグレーチェックのスラックスを身につけた足は羨ましいくらいに長い。
そして、切れ長なその瞳。
読書と原稿の際にだけかけられている眼鏡の奥の、真っ直ぐな瞳が素敵なんだ。
なにより瞬きがはっとするほど美しい。
白襟セーラーに彼と同じグレーチェックのスカートとクロスリボンタイにベスト姿のわたしじゃ、これほど誰かの視線を集めることなんてない。
柔らかく生地は馴染んでいるけど、それでもわたしだとせっかくの制服も地味に見えてしまう。
同じ部活なのに、あまりの釣り合わなさに落ちこみそうになったりもするけど……やっぱり、かっこいいから。
こっそり一条くんを見つめては、にやにやと頬をだらしなく緩ませてしまうんだ。
「なに?」
「え……え⁈」
一条くんは原稿から目を離さないけど、明らかにわたしに向けられた言葉で。
あわあわとわたしが焦るのはいつものことだから、彼も気に留めていない。