絶叫脱出ゲーム～奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ～①
「轢かれた場所が悪くて、俺は右足を切断することになった。サッカー選手を目指していたけれど……夢は消えたんだ」


「翔吾……翔吾、もういいよ」


気が付けば涙が頬を濡らしていた。


あたしをかばったせいで翔吾は右足を失った。


病院のベッドの上で悔しさのあまり『どうして俺なんだ』と叫んでいた姿を思い出す。


どうして翔吾なの？


あたしも何度も空へ向けてそう呟いてきた。


翔吾はこんな目にあっているというのに、犯人たちは逃げおおせていたのだ。


翔吾が事故にあって混乱している間に、どさくさに紛れて逃走した。


神様が存在するならば、あまりにも不公平な現実に殴り飛ばしてやりたい気分にもなっていた。


「気が付けば、毎日自殺を考えてた」


翔吾の声がズシンッと胸に重たくのしかかってくる。


「俺からサッカーを取ればあとは何も残らないって、俺自身がよくわかってたから」


「そんな……」


春奈が思わず声を出した。
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