オトナな部長に独占されて!?



カチッとライターで火を点ける音がして、煙草の煙の匂いも微かに漂ってきた。


「西園寺部長、ここは禁煙ですよ」


「それがどうした?
小僧はまだ分からんのか?

俺はお前より上なんだよ。指図してんじゃねぇ。逆らうんじゃねぇ。しばくぞ、ゴラァ」



西園寺部長は元から人柄が良くないとは思っていたけど、今は呆れるほどに性格の悪さを露呈している。


人事会議は葉月部長の完全勝利に終わったから、恨みを晴らそうとしているみたい。



悔しくて腹立たしくて、手の平に爪が食い込むくらいに強く握りしめていた。


それと同時に、葉月部長への申し訳なさで胸がいっぱいになる。


今回の昇進に関しては、自分は何もしてないというような言い方をしていたのに……。

私の努力が実った成果だから、上から認められて当然だと言ってくれたのに……。

本当は何もかも葉月部長のお陰で、会議を通すのも物凄く大変だったんじゃないの……。



ありがたくて、申し訳なくて、泣き出したい気持ちになっていた。


私のために色々してくれたのはきっと、私が弱さを見せてしまったからだよね。


葉月部長とカジュアルフレンチのお店で食事をした時、つい、女だから認めてもらえなくて悔しいという想いを口にしてしまった。

だから部長は、私が認められて昇進できるような道筋を作ってくれたんだと思う。


最初はガンガン仕事を回されるし、突然栄繁さんの担当をやらされるしで、私を潰して辞めさせる気かと思ったけど……違った。

全ては私のためだった。


自分の実力不足を棚に上げて、女だから馬鹿にされるんだと愚痴るしかできなかった私に……

力を付けさせてくれて、実績も作らせてくれて、係長にまで押し上げてくれて……。


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