オトナな部長に独占されて!?
「高村さん、下りますよ」
「わかってます!」
資料とタブレットを慌てて鞄にしまったら、部長の長い腕か伸びてきて、「持ちましょう」と重たい鞄を取り上げられた。
その上で部長は私に向けて、右手を差し出してくる。
え……なに、この手。
もしや『お嬢さん、お手をどうぞ』的なやつ?
そんな助けは無用だ。
重たい鞄だって、私の大事な仕事道具が入っている、私の鞄。
「持っていただかなくても、結構です!」
ムッとして葉月部長の手から鞄を取り返すと、差し出された右手を無視して、ホームに降り立った。
鶴亀写真館は、駅から徒歩5分ほどの場所にある。
約束の3分前に着いたので、店の前で時間ちょうどになるまで待とうとしたら、私に気付いた店主が出てきてくれた。
「どうもどうも、ご苦労様です。
いつも来てくれてすみませんね」
目の周りにたくさんのシワを寄せる店主に向けて、頭を下げる私。
その隣で葉月部長は名刺を渡し、初めましての丁寧な挨拶をしていた。