オトナな部長に独占されて!?
「ほう、部長さんですか。こりゃまたお若い部長さんですな。いや〜立派、立派。
うちの息子もフラフラしてないで、ちゃんとした所に勤めてくれたら安心なんですけどね……と、いらないことを言ってしまった。
さあ、どうぞお入りください」
店主がドアを開けてくれる。
店の中に入ろうとした私は、足を止めて振り向いた。
「葉月部長?」
部長は写真館の外観に視線をめぐらせてから、外のショーウィンドウに飾られている古びた写真見本を一枚一枚、じっくり見ていた。
店主が自嘲気味に言う。
「うちの店、古いでしょう〜。汚いでしょ〜。
高村さんにも言われましたよ。店を変えなければ、新しいお客さんは来ませんよね。
全くもって、その通り。正しい意見ですよ。はぁ……」
葉月部長がハンサムな眉間に少しだけシワを寄せて、私を見た。
慌てて私は首を小さく横に振る。
古くて汚いとは感じていても、お客さんに対してそんなストレートな物言いはしないよ。
この店主に対しては、
『レトロなお店ですね。お客さんはお馴染みさんが多そうですね』
と、そんな切り口で話しただけ。
そうしたら、
『馴染みの客も子供が巣立ったら写真を撮る行事がなくなって、足を運んでくれませんわ。
新しい客なんて入らないし。こんなボロじゃ仕方ないけどね〜』
そんな店の問題点を、店主自ら口にしただけだ。