オトナな部長に独占されて!?



「鶴亀さん、今日は前回訪問時に納得していただけなかった点を解決したプランを……」



気持ちを奮い立たせてファイルを開こうとしたら、葉月部長の大きな手が私の手の上に被さって、ファイルを開かせてくれなかった。


「え?」


何で?と聞きたい私の視線を無視して、葉月部長が店主に話しかけた。



「鶴亀さん。高村が用意しているプランは、この店をカジュアルポップな風合いに大幅に変えてしまうプランですよ?

そうすれば確かに、小さなお子さんを持つ若い親層が、この写真館の常連になるでしょう。

しかし、鶴亀さんはそれでいいのですか?

本当にこの写真館が変わることを、望んでおられるのですか?

この写真館を変えて、商売を繁盛させることが、あなたの心からの望みですか?」



葉月部長はゆっくりと、言葉を区切って、店主の心に語りかけていた。


鶴亀さんは、テーブルを挟んだ私たちの向かいのソファーに座っている。


その目が、揺れているように見えた。


やがて「あああ〜……」と、溜息のような呻きのような声を漏らし、とうとう鶴亀さんはうなだれてしまった。



店主のリフォームに対する気持ちが、目に見えて急落してしまった。


葉月部長……。
なんてことしてくれるのよ……。


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