オトナな部長に独占されて!?



葉月部長が女だったら、無条件に憧れたのにと思ったことがあったっけ……。


でも、部長は男。私の嫌いな男という生き物。

それは変えられない事実であるはずなのに……手を握られても嫌じゃなかった。


むしろ、温かい手が私の問題をどうにかしてあげたいと言ってくれてる気がして、嬉しい……。


心の中はぐちゃぐちゃで、言葉にするのが難しいけど、

「葉月部長の手は、嫌じゃありません」

と口にした。


それから、今まで誰にも言わないようにしていた田舎の実家のことを、ポツリポツリと話し出す。


女なんて不用品だと言われて育ったこと。

どんなに勉強を頑張っても、親に褒めてもらえなかったこと。

高校受験を前に塾通いがしたいと言ったら、女に使う金はないと言われて父に頬を張られたこと。

努力と無縁で育った馬鹿な弟は、ちやほやと両親や親戚に可愛がられていたのに、私は召使いか奴隷のような扱いだったこと。

大人になって、男尊女卑の田舎から抜け出せたのに、帰って嫁入りし、夫に尽くして男児を産めと両親に命令されること。



そして、東京でも……。


前営業部長の狸オヤジは、パワハラ・セクハラ三昧で、私より営業成績の低い同期の下山は、先に昇進。

その理由を人事部長に問うと、『君は女だろ?』と馬鹿にされ……。


< 76 / 145 >

この作品をシェア

pagetop