オトナな部長に独占されて!?



話しながら悔しくて、泣きそうになる。

泣くのも負けを認めたみたいで悔しいから、時折唇を噛み締め耐えていた。


葉月部長は私の左手を握ったまま、静かに聞いてくれている。


葉月部長は、女を馬鹿にする人じゃない気がする。

いや、そうであって欲しい。

葉月部長だけは、私の知っている男共と違うんだって、信じたい……。



時刻は0時近くになっていた。

店の入り口の方で「いらっしゃいませ」というウェイターの声が聞こえる。

夜間のワインバーとしての営業も、そこそこお客が入るみたいだ。



葉月部長が聞き上手なのか、今まで誰にも言いたくなかった私の弱くドロドロした負の塊を、気付けば全て話してしまっていた。


全てを吐き出し終えて私は溜息をつき、残りのワインを口にする。


心なしか、悔しさや怒りが幾らか和らいだ気がしていた。


葉月部長になら、頼ってもいいのかな……。

仕事面でも、こういう誰にも言えない話も、部長なら上手く解決する方向に導いてくれそうで、その肩にもたれてみたくなる。


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