恋愛格差

「私を避けてたすぐるは、その後普通に接してくるようになったの。でも元気がなくて段々やつれてきて……

そんな、あのビデオを他の人に見せる訳ないのに!私だって映ってるんだし……」

ゆかりさんは何を正当化しようとしているんだろう。
こんなことは紛れもなく犯罪だ。

優がやつれるのは当然だ。
好きな人だけに見せていた恥態をビデオに撮られて、
挙げ句の果てにそれを他人に見せる素振りをされた。

「私は地元の短大に入って、その後も付き合ってたの。
関係は……もう無かったけど……。
すぐるはもう昔の面影が無いぐらい痩せちゃって、オーラがなくなった。
1年後、すぐるは大学進学と同時に私の前から消えたの。携帯も解約して、私に言っていた大学とは違う家からは通えない大学に。きっと元々の希望とは違う大学を選んだ。私と決別するために。

これがすぐるの人生を狂わせた最初。」

「好きだったのになぜビデオになんか撮ったんですか?
そんなことをすれば優が離れていくのはわかってましたよね?」

一番の疑問。
他にやりようがあっただろうに。

「そう……ね。
私は子供だった。
そして、体ばっかり求められた気がした。

そして、
すぐるが憎かった……のかもしれない。」

「え?」

「すぐるは何でも持ってた。さっき言ったけど、優しい両親と友達。すぐるの周りにいる人間は皆エリートで完璧に見えた。私だけがみすぼらしい浅はかな人間。
すぐると居るとそれが時々垣間見えて。高校だってレベルが違いすぎるし会話も噛み合わなくなった。
好きだって言われて嬉しいけど、体を重ねる度に私といるのはそれしか私には無いから……と思えてきて……」

「優はそんな人間じゃありません!」

「わかってるわよ!でもその時はそう思えてどうしようもなかったの!
だから、素敵なカッコいい彼氏が憎くなってきたのよ!

友達からも……『ゆかりには勿体ないね』っていつも言われてたし……」

「ゆかりさんはゴージャスで素敵な人だと思いますけど……私と違って」

って、私ったらゆかりさんを慰めてる?
しかも自分を卑下して……

自分の言葉にショックを受けた。

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