恋愛格差

しつこいぐらいに愛されて、ぐったりしたまま眠ってしまった私が次に目が覚めたのは朝方、まだ日が上る直前の暗闇の中だった。

優が私を後ろから抱き締めていて、全く身動きはできない。
寝返りもできず腰も痛かったけど、心は温かだった。

はだけた掛け布団を肩まで持ってきた時、左手に違和感と共にある輝きを見つけた。

窓から差し込む少しの月明かりに照らされたのは紛れもない指輪。
しかもダイヤモンドがついている。

眠っている優を起こさないように、そっと窓の方へ左手を伸ばして月にかざしてみた。

もしかして、いや、もしかしなくても……

「気に入った?」
背後から聞こえた声に驚いた。

「……優?あ、起こしちゃった?」

「起きてたよ、ずっと。」

「え……?ずっと?」

「透子をやっと捕まえたんだ。眠れないよ。」

そう言うと、背中からわたしを抱き締めた。
首筋に優の息がかかってくすぐったい。
私のお腹に回った優の腕にそっと自分の手を重ねると、
私の左手にある輝かしい石を指でなぞった。


「透子……結婚して。離れたくないんだ。一ミリも。」

「……優」

「一時でも透子を忘れようとしてた俺は、なんてバカなんだ。あのまま仙台に行ってたら大事な人を失うところだった。
俺は昔と全く変わらずバカで間抜けだ。

こんな情けない俺だけど、透子が……好きなんだ。
俺、透子が居ないと……っっ」

優の腕の中で体の向きを変えると、優の涙にまみれた顔が目の前にあった。

「透子……ごめっっ…見ないで…」
視線をそらした優の顔を固定するように頬に手を添えた。

「私を見て言ってよ。ちゃんと受けとるから。」

少し驚いた様子の優は、意を決したかの様に力強く深呼吸して、心を鎮めて私を見つめた。
時折、鼻水をズズッとすすりながら、それでも美しい涙を流している王子はこう告げた。

「結婚してほしい。透子だけが好きなんだ。」

素直にストンと心の底に落ちてきた優の言葉。
頭で考えるよりも早くイエスの返事をした私に、優は甘いキスを落とした。




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