恋愛格差
「三池さん……なんて姑息な……。サイテー。」
「まぁまぁ、でもこんなことはこの業界によくあることだよ。俺が頼んだことの方がストーカーチックで犯罪だよなぁ。」
「まんまですけど……。仙台に行くことは希望通りだったんだ?」
「いつかはと思ってた。とても魅力的だったし。自分で期限を早めることになったけどね。
そこにあんな事件があったから、透子を置いていけなくなった。
透子の心の傷は計り知れないけど……結果的に透子が戻ってきてくれた。
俺はいろんな不幸の中にあった小さな奇跡に感謝してるよ。」
そう言われると何にも言えない。
「職を変えたり住むとこ変えたりすることは簡単にできたのに、透子を失うことはやっぱり考えられなかったんだ。これも俺にとっては奇跡。
だから、どんな事があってもどんな状況でもこの先透子を離すつもりはないってこと。
透子が俺に愛想つかしてもね。
わかっただろ?」
と、一息でさらっと言ってのけた後、極上の王子様スマイルで私を魅了した。
「お皿……お下げします。」
今の最後の会話を聞いていたであろうギャルソンの女の子は、ギクシャクとお皿を下げだした。
「ありがとう。美味しかったよ。」
優は先程私に向けたその笑顔を易々とその子に向けると、その女の子は顔を真っ赤にして「あ、ありがとうございます……」とうつむいた。
やれやれ……
これからどれだけこんな事が続くのだろう。
きっと私は今までのように優に踊らされ、一人ヤキモキして優を喜ばすんだ。
そしてすぐにでもうちの両親と社長を丸め込んで仙台にかっ拐われるのだろう。
そして優にドロドロに愛されるんだ。
「蟻地獄にハマった気分…」
「え?なに?」
「………私を好きになってくれてありがとう。」
「…………素直な透子も、めちゃ好き……」
と、少し頬を赤らめて恥ずかしそうに笑った。
その顔は私を含むその辺の女子より可愛かったことは言うまでもない。