異聞三國志
『貴方が政変で魏を乗っ取り、お子様方で磐石にして、お孫様が呉を滅ぼし、天下統一と。つまりは、貴方が動かないと始まらない。しかし、それは現魏帝が亡くなってから、貴方様最晩年まで待ってのこと。それよりは、今動いて、力あるまま、蜀に寝返れば、早道なのでは?』


司馬懿は上を向いていた。


『このまま魏にいても魏帝の信頼を失ったままでは、出世も覚束ないはず。それに南方から迂回してくる別動隊が洛陽を陥落させてからでは無駄になりますよ。』


確かに別動隊は順調に曹一族の曹爽率いる軍勢をやぶり、順調に進軍していたのである。

『機は熟したか。』


司馬懿は士郎にむかい、こう言った。


『3日後日反乱を起こす。蜀軍は呼応してくれるのであろうな。』

『勿論。函谷関さえ開けば。』


『では、今から私の息子、昭を貴公とともに行かせる。儂の書状を持たせてな。これで貴殿も信じるであろう。』


司馬懿は自らの次男を同行させることで蜀への忠誠を示した。
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