叶うはずのない恋愛
「かえ、おはよう。」


そう言いながらあたしの肩を叩いてきたのは、
神崎 結衣 カンザキ ユイ。
あたしのよき相談相手。


「結衣、おはよ。」


あたしは言い合ってる夏川と紗紀の場所から離れたいから結衣が話し掛けてきてくれたのを理由に席を離れた。


「何々〜?また元気ないじゃん。」


結衣は呆れたように笑った。


「うん。やっぱ紗紀には敵わないなあって思って。可愛いしさ?」


あたしは結衣の前の席に座った。この席誰だっけ…。


「ふぅ〜ん…。かえも大変だね。相手があの夏川なんて。しかも部活は一緒の合気道でしょッ?」


あたしは溜め息をつきながら結衣の話を聞いた。
確かに部活も一緒だから夏川と居る時間は結構長く、その時間はほとんど紗紀の話ばっかり。
前まではずっと笑いあってたのに…。


「まあさ。恋愛に勝ちも負けもないよ?言わないって決めてるならいいけど言ったほうが絶対気持ちは軽くなるよ?
自分で可能性は決めない方がいいでしょッ?」


結衣はあたしにノートを渡しながら言った。
そのノートの題名は
[恋愛魔法呪文]というやつだった。題名からして怪しそう。
あたしは中身も見ずに
結衣にノートを渡した。
< 6 / 132 >

この作品をシェア

pagetop