控え目に甘く、想いは直線的
「寿司? 俺も行きます! なんで二人で行こうとするんですか! ずるいですよ」


「ああ、お前邪魔だから」


「えー、邪魔ってどういうことですか? ええっ! まさか二人は……」


自分だけ除け者にされたことに大石さんは頬を膨らませたが、私の横に来て、私の肩を抱く要さんを見て目を丸くさせた。


「まあそういうことだ。悪いが、一人で飲みに行って」


「何がそういうことだですか! 一人で行くなんて寂しいことしませんよ。そうだ、三上さんを誘ってみよう。いつか行けたらいいですねって、言ってくれていたし」


「それって、遠回しに断られていないか?」


「大石さん、柊花は無理ですよ。行かないと思うので誘うのもやめたほうがいいかと」


要さんと私の言葉を聞いて、大石さんは泣きそうな顔をする。


「なんだよ、なんだよ、二人してー。自分たちばかり幸せそうな顔してさ。俺にだって幸せになる権利はあるんだから。大体誘ってみないと分からないじゃないか。今から行ってきます」


あれこれと騒ぎ立てた大石さんは突如真面目な顔をして、柊花のいる販売戦略部へと出ていった。絶対無理だと思うのに。
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