控え目に甘く、想いは直線的
笑顔で去っていく涼さんを私はぼんやりと見つめた。


「カッコいい……」


「確かにカッコいいのは認めるけど、やっぱり軽いよね。すぐ名前で呼ぶし」


私は名前で呼ばれたことに親しみを感じて嬉しくなったけど、柊花は不満らしい。


「夕美が傷つく姿は見たくないのよ」


「傷付くもなにも、まだなにもしてないし、されてもいないよ」


ただ名前で呼んだだけで、涼さんを否定して欲しくない。軽い男は、嫌いと前々から言っている柊花は軽くみえる涼さんが嫌いだ。

私も大学にいたときの涼さんは、見た目も行動も軽くて嫌いだった。

でも、涼さんは優しい。この前もそうだったけど、今日も気遣ってくれて優しかった、

だから、涼さんが好き。


「夕美には、涼さんよりもお兄さんのほうが合うと思うわ、あの人もかっこよかったじゃない?」


「お兄さん? まあ、似ていてかっこよかったけど、なんか怖そうだし、苦手だな」


人事部長は真面目そうだけど、あの見透かすような瞳が怖かった。人事部ということで、人を見極める力が必要なんだろうけど……。
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