控え目に甘く、想いは直線的
赤くなってしまった私の顔色を見逃さなかった柊花が詰め寄ってくる、話すのは恥ずかしいが、正夢になったら困ると思い、話した。


夢の中で私は部長の車に乗っていた。バーベキューに行くために車を走らせていた。ところが、突然ナビが道案内を放置した。

何度か行ったことがあるから大丈夫だという言葉を信じて、目的地に着くことを楽しみにしていたが、知らない道が現れて、迷っていた。

でも、部長は迷ったことをラッキーだとか言って、どこかの駐車場に車を止めて、私の椅子を倒してきた……そこで濃厚なキスをされて……


「あー、恥ずかしい! 夢なのに恥ずかしい。もうこれ以上は無理……」


ここまでしか言えない。ここまでしか覚えていないのだけど。夢はここまでだったのかもしれない。経験のない私にはここまでしか夢を見ることが出来なかったのかもしれない。


「聞いている私も恥ずかしいわよ。私は、手を繋ぐ夢を見るだけで充分だもの」


同じく経験のない柊花は他の人が聞いたらビックリするでおろう純粋なことを言う。手を繋ぐだけでいいなんてかわいい。


「でも、私も夢の中でいいからカズさんとキスしたい」
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