ドロップアウト
貴族と王子と側近と
◇◇◇
レノワール高等魔法学校にある小洒落た学生食堂。
数時間前までは静まりかえっていたこの場所は昼休みである今、多くの生徒で賑わっている。
チェルノもその中のひとりだ。
現在チェルノは学生食堂の丸いテーブルで昼食をとっている。
向かい側には琥珀色の瞳に栗色の髪をした青年が座っている。
チェルノは食事をしながらその青年との会話を楽しんでいると、学生食堂に入ってくるルルアとセロンの姿が目に入った。
二人はそのまま販売所の前まで行き、そこで何やら話し込んでいる。
距離があるためここからでは内容は聞こえないが、メニューを指しながら話し込む様子が見えた。
恐らくいくつかあるランチメニューの中から今日の昼食を選んでいるのだろう。
それにしても長い。
ルルアとセロンはかれこれ十分ほどランチメニューとにらみ合っている。
自身の分だったらこんなに長くかからないだろう。
恐らく二人はここにいないソフィアとレヴィの分の昼食も選んでいるのだろう。
チェルノの勘は鋭かった。