幸せ行きのチケット
−12月27日−

真冬の夜、綺麗な雪が降った。

静かな病室から見える、素晴らしい雪景色。

まだこの寒さになれない。

病院の中でさえ肌寒く感じる私の肌は、冷たかった。

祐輔との幸せだった日々は、走馬灯のように頭を駆け巡る。

泣いて笑って…。

ただその繰り返しなのに、それが本当の幸せだったんだなって今なら思える。

今あの場所はどうなってるのかなぁ?

雪が積もって綺麗なのかなぁ?

また二人で行きたいなって思っても、なかなかそれは叶わない。

あの場所で、私達は運命ってものを感じたよね。

温かい愛があるって知ったんだ。

幸せはきっと、私達を見捨てないはずだから。

だから………また笑ってよ。

祐輔…………。


……ピー………。

祐輔は静かに眠り、もう目を開けることはなかった。


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