Rose of Blood 【リメイク版】
「今や人間は絶滅危惧種。 それはお前も分かっているはず。 珍しいのは分かるが、早急に保護施設へ輸送しろ」



俺にとってルカはもはやただの人間ではない。愛すべき者だ。



「そうするなら、とっくにそうしています」

「っ__お前は自分の立場を分かっているのか!?」



興奮した父はテーブルに拳を叩きつけた。



「あなた!! 少し落ち着いて下さい!!」



拳を震わせている父を宥める母。本当にいつも面倒くさい。早くも食事の席に来たことを後悔した。



「綺麗でとってもいい子だよ」



緊迫した空気の中に能天気なセリアルの声が流れた。



「お前も会ったのか!?」

「うん! テラスで一緒にお茶したんだ。 あっ! クッキーも一緒に食べたんだぁ」



溜息を吐いた父は頭を抱えた。だがセリアルは気にする様子もなく、ニコニコしながら食事をしている。
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