Rose of Blood 【リメイク版】
ジョシュには先に執務室へ戻ってもらい、俺は見送りの為門へ来ていた。


今日はお茶をしたいと言わなかったな。俺が仕事が残っていると言ったからだろが、こんなことならルカをセリアルのところへ行かせる必要はなかったな。



「シエル様、本日はお忙しいのに時間を割いて下さってありがとうございました」

「いえ、お気をつけてお帰り下さい」

「はい……」



寂しそうな顔を見せるアマンダ。


女の仕草や表情で何を求めているのかぐらい分かる。だが呼び止める理由もないため、気付かないふりをした。


すぐ傍まで歩み寄ってきたアマンダは俺の手を取った。少し震えている。驚いていると背伸びをしたアマンダと一瞬唇が触れ合った。



「では、また……」



恥ずかしそうに頬を赤く染めたアマンダは、顔を俯かせ馬車に乗り込んだ。


いつも控えめなアマンダがまさかあんな事をするとは思っていなかった。
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