草花治療師の恋文

「ライザ様、おはようございます。」


セイリンは朝食を持ってライザの部屋を訪問した。


「おはよう、セイリン。」


ライザは優しく返事をした。

病に侵されてから体重は減り、顔色も良くない日が続いているが、ライザの人間性は変わらず、当主としての役割も果たしている。

ただ、その事がライザに負荷がかかっていることは間違いがなかった。


「今日はいつもより食欲がある感じだ。」

「それは大変喜ばしいことでございます。」


最近は食欲も落ちて、食事を残すことが多くなっているが、クルガが治療に来た翌日は体調が良く、食事もそこそこ食べるのだ。

それはセイリンもクライツ、クルガ本人も気付いている。

しかし、体調が良くなるのはいいが、クルガの治療というのがネックになって、話題にしてはいけない暗黙のルールができていた。


「今日はお天気がいいので、一度窓を開けて風をお通ししましょうか?」

「そうだな、頼むよ。」

「承知致しました。」


ライザは食事を始め、セイリンはカーテンと窓を開けた。

窓からは暖かな日が差し込み、柔らかな風が流れてきた。


「あぁ、本当にいい風だな。」


ライザは風に触れて笑った。


「ええ、本当に。」


ライザを見て、セイリンも笑った。

ライザの穏やかな表情を見ると嬉しくなる。

セイリンは食事を始めたライザの傍で、食後に服用する薬の準備を始めた。


食後、ライザは準備されていた薬を飲んだ。


「…今日の薬はカールが作ったのか?」


薬を飲み終えたライザが聞いてきた。


「え?そうだと…。薬事室にはカールしかいませんし…。」

「…そうか。」


ライザは頷いた。


「あの…何か問題が?」


ライザに聞かれて、セイリンは不安になった。

セイリンの不安が顔に出たのか、ライザが気付いた。


「大丈夫だよ。いつもより優しく感じただけだから。」

「…優しく…ですか?」


セイリンは薬に優しさがあるのかと、首を傾げた。


「そうだよ。」


ライザはクスッと笑った。


「今日は本当に気持ち良く過ごせそうだ。」


ライザは窓から見える、青い空を見上げた。


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