白衣の王子に迫られました。
「そうだけど」
「私がやりますから、先生は自分の仕事をしてください」
有無を言わさず、と言った感じで春野さんは休憩室の扉をピシャリと閉めてしまった。
しかたない。香月君のことは、彼女に任せてしまおう。
さすがの春野さんもあそこで襲い掛かったりはしないはずだ。
もしもの時は、自分でどうにかできるだろう。
香月くんは"オトコ”なんだし。
しかしまあ、看護師って、肉食系が多いのだろう。
森下君だってそうだ。
虫も殺さないような王子様キャラのふりして、昨日のアレは、いったいなんなの!……と噂をすれば、エセ王子の登場だ。
今日も栗毛をふわふわにセットして、しわひとつない白衣に身を包んでいる。
半袖から伸びる華奢な腕は意外と力が強く、薄めの唇はことのほか柔らかいということを、私は知ってしまった。
もし、あのまま拒否しなければ、私は彼に抱かれていただろう。
とんだエロ王子め!彼の背中を軽く睨む。
あんなことをしてくれたおかげで、今朝は、大好きなから揚げ弁当も完食出来なかったじゃないか。
暫くの間は、極力関わらないようにしよう。
そう心に決めて、私は仕事に戻った。