白い隊服


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夕餉の支度が終わり、一段落したところで 芹沢局長とのことを土方副長に報告すべく、彼の部屋へと向かっている。


今日はあっちへ行ったりこっちへ行ったりと何だか忙しい...。




彼の部屋の前に着き、小さめの声で言う。


「土方副長、御堂です。」


「入れ。」


「失礼致します。」



障子をススーッと開け、土方副長の部屋へ入り正座する。



どうやら彼は文机で書状を書いている途中だったようだ。

筆を置き、こちらへ向き直る。



「で、どうだった。何か言われたか。」


「申し訳ありません、私が女だとばれていたようで...。

少しからかわれたりはしましたが、特には何もされていません。

私が此処に居させていただくようになったきっかけを純粋に知りたかったようです。

隊医のことも認めていただけました。

それと...私には芹沢局長が女の身でここに居ることを心配...してくださっているように見えました。」


「そうか...。

...で、そのからかわれたってのは何だ?」


ぎくっ


「い、いえそれは......」


無意識に目をそらしてしまったのか、さらに問い詰められた。


「何かされたのか?!」


目を細め、さらに眉間にシワを寄せる。



「全く大したことではないのですが、その...

...急に引き寄せられ、顎を掴まれました。

ほ、本当にそれだけです!」


情けなさと羞恥で自然に声が小さくなる。

土方副長の方を直視できない...。



「何ぃ?!それでお前はどうしたんだ?」


「失礼ながら、全く放してもらえないばかりか 少々腹が立つことを言われましたので、手首の筋を殴らせて頂きました。

もちろんお詫びしましたが...。」



やはりまずかっただろうか...

当の本人は怒るばかりか、高笑いしていたけど...
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