白い隊服


誰もいないから、いいよね...


「ぅっ...」


私は仰向けのまま手の甲で目を押さえ、静かに泣いた。



ずっと我慢していた。


両親が死んだときも、初めての京都までの長旅も、葉月の前で泣かないようにしていた。


壬生浪士組に籍を置いたあとも、忙しさで気を紛らわしていた。




それが今、江戸での懐かしい思い出により涙腺が崩壊したのだ。


どうやら私は、心が疲れきっていたようだ。





一人で泣いていると、後ろの入り口の引き戸がガラリと開く音がした。



「え...」


ばっと上体を起こして後ろを振り返る。

そこには思いがけない人物が立っていた。





「斎藤さん...!」




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