夏とサイダーと手紙
他に何か書いていないかと、紙を裏返してみると、住所と共に「この瓶はそのまま、また海に流して下さいね」とだけ書かれていた。

住所を胸ポケットから出した生徒手帳にメモして、再び強く栓を詰め込む。

そして俺は、果てなく広がる視界の青に、その瓶を放り投げた。

中途半端に残ったサイダーを片手に持ちながら、自転車に跨る。

不安定な片手でゆっくりと自転車を走らせながら、俺の頭の中は返事の内容でいっぱいだった。
< 8 / 9 >

この作品をシェア

pagetop