油断は大得?!
思いもよらないお誘いから、こうして課長の腕を取り、挨拶回りをしている。
ブティックに迎えに来た課長は一瞬目を見開いたように見えた。
「馬子にも衣装ですよね」
「いや、英。…綺麗だ。お世辞じゃない。本当に綺麗だ…」
「課長もフォーマルスーツ、良くお似合いですよ。‥素敵です」
「そ、そうか」
頬をポリポリする。
「車を待たせてあるから、行こうか」
「はい、ゆっくり目でお願いします」
「ん?」
私は足元を指した。
「すみません、これ程ヒールの高い物は慣れていないもので、申し訳ありません」
「よし、解った」
課長は腕を貸してくれた。
受付を済ませると課長が遠慮気味に言う。
「英、頼みがある」
「はい、何でしょうか?」
「挨拶回りは僕一人でするつもりだったが、その…、ついて回って貰ってもいいかな?」
「えっ」
自由に歓談してて良かったんじゃなかったの〜。
「その…、自慢して歩きたくなった」
「え」
「その…、英が綺麗だから。……ゆっくり移動する。いいか?」
「課長。褒めて頂いて光栄です。
前にも言いました。私でお役に立てるなら、と」
仕事、仕事。
「いいのか?英。…有難う」
私は課長の腕に腕を回した。
そうして、今に至る。