イジワル同居人は御曹司!?
「じゃ…じゃあ頑張ってみようかな」

催眠術にかかったように私は大胆な事を口走ってみたりする。

「よく言ったな、紗英。一緒に頑張ろう」

奏さんは花のようにニッコリ微笑んだ。

そんな笑顔を見た事はなかったので、思わず頬をポッと赤く染める。

「早速、現行サイトの仕様書を出せ」

奏さんは私からサッと手を離すと突如180度態度を急変させる。

「は?」私は首を聞き返す。

「仕様書だ。あるだろ」

「しょ、少々お待ちください」

私は慌てて席を立つ。

デスクへ戻る途中「藤田!」と加藤課長に呼び止められた。

「はい!」何よ、この忙しい時に。

「システム障害が発生した。俺はこれから別件の打合せに入るから、羽瀬さんの案件はサブで青池を入れて話しを勧めておいてくれ」

「はい!」クソ!やっぱり逃げたか。

ちなみに青池、とはゆうぽんの事である。青池悠子がゆうぽんの本名。

「ゆうぽん!現行のWebサイトの仕様書ってどこにあったっけ?羽瀬さんが見たいって言いだしちゃって」

デスクに戻ると早速隣に座るサブを巻き込む。

「15番キャビネットに入ってます」

ゆうぽんはデスクから鍵を取ると、私達はバタバタとキャビネットへと向かう。

奇しくも奏さんの待つ打合せ用パーテーションの直ぐ裏にあった。
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