イジワル同居人は御曹司!?
結局、会社の裏口まで奏さんに運んでもらう。抱っこで。

「満天堂大学付属病院までお願いします」加藤課長がタクシーの運転手さんに行き先を告げる。

奏さんは加藤課長の目にはいらないように、耳の側で親指と小指を立てて「電話をしろ」と合図を送った。

タクシーの後部座席によろよろ乗り込み、ゆうぽんに付き添われて病院まで向かう。

道中、フロントガラスに大きな雨粒がボタボタと落ちてきた。

「やっぱり、嵐の前ってよくない事が起きるんすね」

隣に座ったゆうぽんがボソリと呟いた。


◆◇◆◇◆◇


病院での診断はギックリ腰だった…。

腰にはがっつりコルセットが巻かれている。

1週間程度安静にしていれば治るとのことだ。

病院の車椅子をお借りして、ゆうぽんに押してもらいながら移動する。

建物から出ると爆弾低気圧の影響か、雨がジャンジャンカ降っていた。

エントランスの軒下で私はバックからスマートフォンを取りだす。

「あ、もしもしー紗英です。今病院が終わりましたのでこれから帰ります」

言いつけ通りに奏さんに電話した。

「へ?今ですか?満天堂大学病院のエントランスにいます」

わかった、どだけ言うと電話は切れた。
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