イジワル同居人は御曹司!?
「起きてんだろ、たぬき女」

奏さんは耳元で囁いた。

「ぐう」

私はあくまで寝たフリを決め込む。

クスリと笑う声が聞こえ、奏さんはベッドから抜け出した。

クローゼットを開け着替えている音がする。

だけど私は目を開ける事が出来なかった。

◆◇◆◇

「おい、起きろ。紗英」

奏さんに二度寝から強制的に起こされる。

寝たフリを決め込んで本当に寝てしまったようだ。

と、いうかそもそも私は本当に起きていたのだろうか。

さっきのは、夢だったのかもしれない。

その割には感触がリアルだったような。

私は腰を庇いながら、ゆっくり上半身を起こす。

奏さんの手を借りながら、階段を降りてリビングへと向かう。

既に朝食の仕度が出来ていた。

と言っても近所のベーカリーで買って来たパンだけど。

クロワッサンに齧りついていると、奏さんがコーヒーが入ったマグカップをテーブルの上に置く。

そのまま向かいに腰を下ろした。

「何で俺の部屋にいた?」

バケットのサンドウィッチを無表情のまま頬張り奏さんが尋ねる。
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