イジワル同居人は御曹司!?
「ふぁあ…」

大あくびをしながら私はタヌキ蕎麦を啜る。

「あら、ヤダ。寝不足?」

すかさず歩に突っ込まれる。

本日は午後から部長会の発表があるので、社食にてランチを食べる。

「昨日の夜は奏さんが眠らせてくれなくって」

私がため息をつきながら愚痴ると、歩は化け物でも見たようにギョッと目を見張る。

「どうなっちゃってんのよ、あんた達」

どうやら歩はそっちの意味で捉えてしまったらしい。

「違うって」私はぐるりと目を回す。

「奏さんの部屋でプレゼンの練習してたの。明け方まで」

なんだ、と言って歩はホッとしたように表情を緩ませた。

「しかし兄は紗英に随分ご執心ね」

歩は感心したように言うと、美しい箸づかいで解した焼き魚をパクリと食べた。

「まあ、ある意味ご執心かもね」

私は自嘲気味に笑う。

だって私はプロジェクトを成功させるためのマリオネットだから。

「兄の独りよがりな愛情を一心に受けて紗英も大変でしょー」

器官に七味が入って思わずむせてしまう。

「そ、そんなんじゃないよ」

咳こんで目に涙を浮かべながら否定する。
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