イジワル同居人は御曹司!?
「そうかしら?部屋にまで招き入れるなんて尋常じゃないわよ。私ですら脚を踏み入れたことがない禁断の地ですもの」

歩がギュッと眉根を寄せる。

「へぇそうなんだ?」

私は首を傾げながら言う。

「兄は自分以外の誰かが部屋に入るのを酷く嫌がってたのよね」

「アメリカに行って少し大らかになったんじゃない?」

確かにそうかもね、と納得した様に歩は呟く。

「それに奏さんにはデートする相手がいるみたいだし。私も誰か知らないけど」

この間の週末、深夜まで帰って来なかった事を思い出し、胸がチクリと痛む。

チクリ?

私はまさかの感覚にハッとする。

そんな!メガネが誰とデートしようと関係ないですけどね!

「そりゃ独身だもん。デート相手くらいはいるでしょ。結婚前提、とか深い関係じゃないとは思うけど」

歩はアッサリ言ってのける。

「そうなの?深い関係じゃない人と普通デートするかなぁ」

私は箸でグリグリタヌキ蕎麦をかき混ぜる。

「普通はよくわからないけど、兄はモテるから」

歩がサラリと言った言葉が、私のお腹にズシリと響く。
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