イジワル同居人は御曹司!?
「よかった。今日のお店は藤田に気に入ってもらえて」

桜井の大きな瞳に見つめられるとドキドキしてしまう。

「さすが女子の喜ぶツボはしっかり押さえてるんだね!」

私の台詞に桜井は笑顔を曇らせる。

「…別に女の子と遊び歩いている訳じゃないよ」

ちょっとムッとしてるみたい。

「ご、ごめん、桜井は結構女子から人気あるからさ」

「だけど、そんな節操なく誘ったりしない。確かに昔は遊んでた時期もあったけど。ちょこっとだけ」

ちょこっと?と聞き返して私が訝しげな視線を向けると桜井はあははーと笑って誤魔化した。

「誰と遊んだって結局同じだから何だか飽き飽きしちゃってさ」

桜井はゴクリとビールを飲む。

いいな、飽き飽きする程デート相手がいたって事か。

私なんてここ数年、数えるくらいしかデートした事ないや。

「贅沢な悩みだね」

私は遠い目をしてワインを一口飲んだ。

「だけど、藤田と一緒にいるのは楽しい。すっげードキドキする」

桜井はテーブルの上に置かれた私の手に自分の手を重ねてギュっと握る。

いやいやいや、こっちの方が100倍ドキドキしとりますわー!

心の中で叫ぶ。

「私も桜井といるのは楽しいよ。ほら同期だし」

私はさりげなく手を交わすとワイングラスを掴んで一気に飲み干した。
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