イジワル同居人は御曹司!?
御前会議が終了すると、今後の事について話し合うためジジイと食事に行く。

マセラティに乗って向かった先は、新橋のガード下にある小汚い焼き鳥屋だった。

秘書の新巻もちゃっかり一緒に着いてくる。

ビジネスの話をする気満々じゃないか。

「おい、ジジイ、仕事の話しをするなら料亭とか回るテーブルがある高級中華料理店の個室と相場は決まってるんじゃないか?」

焼き鳥屋は狭くて騒がしくて人が多い。

「そうゆう店は好きじゃない」

新巻がホッピー黒と生ビールをオーダーする。

「それで腹は括ったか?奏」

ジジイは運ばれてきたホッピーをグラスに入れ、慣れた手つきで掻き混ぜる。

「括れてない」

俺は生ビールをグビっと一口飲んだ。

「自由に生きていきたい、なんつって、その本心は重圧を背負う覚悟が出来てないだけだろ?」

違う、そんな事ない、なんて俺は即座に言い返す事が出来なかった。

ジジイは俺の胸の内を見透かしたようにニヤリと笑う。

「社内に優秀な社員はそこそこいます。しかし会長は奏さんが後継ぎになることを望まれています。何故だか解りますか?」

新巻が感情の全くこもっていない平坦な口調で言う。

「俺が群を抜いて超優秀だからだろ」

「そうですね」

おいおい、そこは突っ込むところだろ、新巻。「普通自分で言いますかねー」とか言って。
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