イジワル同居人は御曹司!?
俺はプルプル震えながら鋭い視線を向ける。

「お前…最初からそのつもりだったんだな。自分に火の粉が降りかからないよう同僚を売る気か?!」

俺は小声で歩に抗議する。

「あら、人聞きの悪い事いわないで。ハイスペックな自慢の兄を紹介したのよ?紗英にとっても悪い話じゃないと思うけど」

歩は自信たっぷりにニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

「藤田紗英とは付き合ってない!指一本触れてないクリーンな関係だ!」

「ホントぉ?指一本触れてない?ケインズに誓える?」

歩はジッと俺の顔を見つめる。

触れてないことは、ない。

ここでケインズの名前を出すとは卑怯な女だ。

「…う、うん」

後ろめたさからつい、トーンダウンしてしまう。

「だめよぉ、奏。ちゃんとあちらのご両親に挨拶いかないとー。藤田さんもうちに連れて来なさい」

母親は完全に黒だと判断したようだ。

「美人だし、元気が良くていい子じゃないか。紗英ちゃんは」

ジジイもスッカリその気になっている。

佐知子おばさんもそそくさとお見合い写真を片付け始めた。

「それで、いつからうちに来られるんだ?奏?」

これで俺の最後の砦は崩された。

よりにもよってあの女のせいで。
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