イジワル同居人は御曹司!?
14. 兄の永遠の誓い
「ふぁあ…」

デスクに座ってパソコンで資料を作成していると、思わず大きな欠伸が出る。

買って来た栄養ドリンクの蓋をパキっと空けて一気に飲み干した。

結局あの後、荷物を纏めると拉致と言っていいほどの強引さで、奏さんの家に連れ戻された。

そればかりではなく、奏さんは驚異の事務処理能力を発揮し、あの寒々しい部屋を早々に解約した。

そのうえ礼金の一部も取り戻してくれたし。

再び奏さんとの同居生活が始まって幸せ一杯の日々…ではあるものの、連日寝不足だ。

昨日も仕事から帰って来た奏さんに求められて、深夜まで寝かせてもらえなかった。

このままじゃ体力的にキツイ。

どうにかしないとね。

気を取り直しパソコンへ向かおうとすると、スラリと背の高い美女が颯爽と歩いてきた。

黒のシンプルなワンピースがスタイルの良さをより引きたてている。

コスメ事業部の人かな。

むさくるしいデータマーケティング部にあんな美人がいたら知らない訳がない。

「おはようございます」

美女に挨拶されて私は慌てて背筋を伸ばす。

「あ、どうもおはようございます」

美女は不思議そうに首を傾げると、私の隣のデスクに腰を下ろした。

あれ…そこはゆうぽんの席なんだけどな。

美女は意に介す事なく慣れた手つきでパソコンを起動させる。
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