イジワル同居人は御曹司!?
「さっきからなんすか?藤田さん」

美女は気怠そうにダークブラウンの髪を掻きあげる。

「もしかして…ゆうぽん?」

「藤田さん、それギャグすか?」

美女もとい、ゆうぽんは眉根を寄せる。

「どどどどーしたのよ?!その激変ぶりは?!」

ギャルファッションをこよなく愛していたゆうぽんが、シックな大人の女性に変身した。

付け睫毛は封印し、薄っすらとナチュラルメイクを施している。

「…変すか」

私はブンブンと首を横に振る。

「もんのすっごく素敵…イメチェンしたの?」

…まぁ、と言ってゆうぽんは煮え切れない返答をする。

「もしかして彼氏でも出来たの?」

「…まだ彼氏ではありません」ゆうぽんはボソリと呟く。

「でも好きな人出来たんだ」

ゆうぽんは無言のまま否定しない。図星のようだ。

「お相手は社内?社外?」

「…社外です」

「へぇー何してる人?」

「…経営企画的なお仕事です」

「イケメン?」

「…イケメンです」

何だかさっきから随分歯切れが悪くてゆうぽんらしくない。

「あ!もしかして私の知ってる人?」

クールなゆうぽんが珍しく顔を真っ赤に染めた。

「まさか、こいず…」途中で口を塞がれた。
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