イジワル同居人は御曹司!?
「2人して私に嘘吐いてたの?」

本日は早めに仕事を切り上げて、某ホテルの34階にある高級中華料理店彩華苑で、羽瀬兄妹と私の三人でディナーである。

貧乏な私がこんな高級店のお勘定を支払えるハズもなく、新役員となった奏さんの奢りだ。

私のご機嫌を取ろうとしたらしい。

だけどそうは問屋が卸さない。

私は怒っている。

「やあねえ、嘘なんて吐いてないわよ?別に聞かれてないから話さなかっただけ」

歩は不倫相手に結婚していたのがバレた男のような言い訳をする。

「じゃあ、会社のみんなも知ってたの?」

「秘書室の人と一部の役員しか知らないわ。基本オフレコにしてたから」

そうだ、と言って歩は眉を顰める。

「何故か栞も知ってたわ。色々飲み歩いてるみたいだから、どっかで情報掴んで来たみたいね」

歩は忌々しげに言う。

どうりで…。

栞が羽瀬兄に執着していた訳だ。

「奏さんも奏さんです」

私は恨みがましい視線を向ける。

「俺にも色々事情があったから」

「優梨奈とか?」

「…案外根に持つタイプだな」

奏さんは誤魔化すように伊勢海老のチリソース煮をパクリと食べる。
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