イジワル同居人は御曹司!?
「ど、どうゆう事?」

奏さんはプロジェクトを担当するコンサルタントとして、私が役員付きの秘書になるのを止めに来たのだろうか?

私は事態が飲み込めず歩に縋るような視線を向ける。

「紹介します。羽瀬奏さんです!」

歩はニッコリ笑顔で紹介してくれた。

いや、知ってるけど…

「下期より経営戦略推進室付きの常務執行役員に就任されます」

「まさか…例の新役員って…?!」

「宜しくお願い致します、藤田さん」

ニコリと営業スマイルを向けられて、私は一層混乱してくる。

「会長、お言葉ですが、こんな無礼なメガネを役員にしてもよろしいのでしょうか?」

会長は気でも狂ったのだろうか。

「最愛の人を無礼なメガネ呼ばわりとは酷いじゃないか、紗英」

会長の前で何て事言ってるのよ!

羞恥で顔を真っ赤にする。

しかし、会長は嬉しそうにニコニコ笑っている。

「無礼な孫が迷惑掛けているようだな」

「孫…?誰が誰の孫なのでしょうか?」

首を傾げて思わず聞き返した。

「奏が私の孫だよ」

会長は愉快そうに目を細める。

「だって苗字が違うじゃないですか」

会長は荻原だし、奏さんは羽瀬だ。

「ジジイは母方の祖父なんだ」

「って事は、歩も?」

「孫です!」

そっくり兄妹は揃って花のような笑みを浮かべる。

私はムンクの叫び状態でビシッと固まった。
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