イジワル同居人は御曹司!?
「飲みすぎですよー奏さん」

私は奏さんに歩み寄り、腰に手を回す。

「もう少し飲みたいんだ」

奏さんは何処か浮かない表情だ。

私の手をスルリと交わすと缶ビールのプルタブを開け窓辺のソファーに腰掛ける。

「じゃあ、私も飲んじゃおっかな」

ミニバーに手を伸ばして缶ビールを取り出す。

隣に座ると奏さんの肩に寄りかかりながらビールを飲む。

テーブルの上に置かれたリモコンを手に取り、テレビをつけると、丁度私の好きなバラエティー番組がやっている。


「にゃははは!」

いつの間にかテーブルの上にビールの空き缶が3つ積み上げられている。

私はすっかりテレビ番組に夢中になっていた。

程よく酔っ払っているので面白さも倍増だ。

「あの…沙英」

「なあに」

私は芸人のリアクションを見て再びケラケラと笑いだす。

突然、テレビの画面が真っ黒になった。

一瞬、故障かと思ったけど、奏さんの手にしっかりリモコンが握られている。

しまった…

放って置きすぎたか。

「そろそろ、シャワーでも浴びて来ようかな」

酔いが回って、少しふらつきながら立ち上がる。

しかし、奏さんは私の腕をしっかり握りしめた。

「一緒に入りますか?」

奏さんは無言のまま首を横に振る。

「じゃあ、ちょっと待っててくださいねー」

奏さんのふんわりした茶色い髪を撫でてやる。

しかし、以前腕を離す気配はない。
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