イジワル同居人は御曹司!?
さっきから何だというんだ、このメガネは。

ムッツリと黙りこみ機嫌が悪そうにしている奏さんを見て、私はため息をついた。

秘書を直ぐに快諾しなかったから拗ねているのだろか。


結局、下期の10月に他言語コンテンツがリリースするため、秘書室への異動は引き継ぎが完了するまで暫し待っていただく事になった。

後任はまだ誰かは決まってないけどね。

その間、奏さんの秘書については歩が会長と兼任で担当する事になった。

「嫌よ!こんなソックリな私達が一緒に行動すれば好奇の目で見られるに決まってる!」

…確かに。

兄妹とすぐバレて、歩の私情も知れ渡るに違いない。

最初は頑なに拒んでいたけど、来期には私と秘書室の後輩に業務を引継ぎ、寿退社をする事を条件に渋々合意した。


そんな訳で、奏さんにとっては特に不満もない結論だった筈だ。

「どうしたんですか?さっきからボーっとしちゃって」

「そんな事ない」と言っている側から上の空。

…まさか、他に気になる女が出来たとか?

そしてそれを伝えた時、私に刺されないようにするにはどうしたらよいのか迷っているのだろうか。

ホテルの部屋だと凶器はないし、直ぐに人も呼べる。

そんなの許さん!

「ダメ!絶対!」

私は奏さんにタックルをかまして押し倒す。

「…言ってる事とやってる事が間逆だな」

奏さんは冷静に突っ込む。
< 313 / 328 >

この作品をシェア

pagetop