イジワル同居人は御曹司!?
「うん今日は同棲したての彼とディナーだって。いいよねえ。心底羨ましい!」

…とは言えるハズもなく「用事があるみたい」と当たり障りのない理由を述べてみる。

「なんだ!羽瀬は男でも出来たのか?」

森が無邪気に尋ねてくる。しかも声デカいし。

「そうゆうんじゃないと思うけど」と曖昧に濁す。

「本当に彼氏が出来たのかな?」

桜井も食いついてくる。笑ってるけど目はマジだ。

「よくわからない。けど歩はモテるからなあ」

私はあははーと笑って誤魔化し運ばれてきたビールに口を付ける。

みんなと乾杯してないけど、この際どうでもいいや。

「羽瀬さんって秘書室の羽瀬さんですよね」

桜井の隣に座った人形みたいに可愛らしい若手女子が小首を傾げて尋ねる。

「そうだよ」桜井が答えると「ええー!ってことは三十路!」と口元に手を当てて大げさに驚いた。

「見えなーい!!」若いギャルたちは声を揃えて言う。

悪かったな。三十路で。

思わず私の笑顔も引き攣る。

「あの子達は誰?」

隣に座る栞にボソリと尋ねる。

「桜井の知り合いだよ。総務部の子みたい。同じグループだから仲がいいんだって」

ふーん、と言って私はビールをゴクリと飲む。

総務部か。どうりで見たことがあった。

いつも本社一階ロビーの受付に座っている受付嬢じゃないか。

うちの部のむさ苦しい理系男子達の間でも可愛いと評判だ。

それが桜井と仲良しとはな。

私はグビっとビールを煽る。
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