イジワル同居人は御曹司!?
「紗英ちゃん、何か飲む?」

栞がメニューを差し出す。

すいませーん!と大声で店員さんを呼び止め、ビールを一つ注文する。

「ありがと、栞」

どういたしましてー、と言って長い髪を指ですきながらニコリと栞は微笑んだ。

涙ほくろにほんのり下がった目尻が色っぽい。

そのうえグラマーだ

さすが魔性の女。

栞は男好きする特有の雰囲気がある。

その上、上司を転がす手腕もピカイチ。

その立ち回りの器用さが鼻につくようで、女子からは自然と浮いてしまってる。

昔っからモテる女性ってそういうところがある。

何と言うか、産まれながらに備わった女の防衛本能がそうさせるのかもしれない。

女性ホルモン少なめな私はそこまで苦手じゃないけど。

「おい、藤田、今日羽瀬は来ないのかよ」

栞とは反対側の隣に座る森が声を掛けて来た。

ゴリラのような顔をしているバリバリの営業マンだ。そして独身。

栞と同期の二代巨頭を張る美女の所在が気になるようだ。

「今日用事があるから来ないって」

マジかー!森は肩を落としあからさまにガッカリする。

「何よ、私だけじゃ不満?」片眉をあげて尋ねる。

「いやいや、仲の良い2人の姿が見られずガッカリしただけさ」

調子の良い事を言って森はガハハっと笑った。

「羽瀬来ないの?」

はす向かいに座った桜井も歩の名前に反応して会話にカットインしてきた。
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