イジワル同居人は御曹司!?
「仕事もできてイケメンで、藤田なんて最初に会った時にポーッとしてたもんなあ!」

だからそれを桜井に冷やかされるのは嫌だって言ったのに。

勇気を振り絞って言ったのに全然伝わってなかったみたい。

肝心なところは邪魔が入って言えなかったけど。

私はハハ…っと力なく笑う。

「私も会ってみたいなぁ。羽瀬さんのお兄さんに」

栞は人差し指を顎に当てて上目で桜井に視線を向ける。

出た!栞のおねだり!

「今度羽瀬歩に一席設けてもらおうって話してたんだよな。藤田」

桜井は単純だから直ぐ乗せられた。

隣に座った受付嬢たちも白けた顔をしている。

「ああ…うん」曖昧に頷きビールを飲み干す。

誤魔化すように、ハイボールをオーダーすると直ぐに運ばれて来た。

「藤田からお願いしてみてくれよ。羽瀬と仲良いだろ?」

「その飲み会、私も参加したい」栞は桜井に微笑み掛ける。

桜井と栞の詰め寄られて「聞いてみる」と口走ってしまった。

多分、お断りされるだろうけど。

あの兄弟が揃って飲みに行くとは思えない。

「やった!楽しみ!」

栞は両手を合わせて可憐な笑みを浮かべる。

羽瀬兄妹はその場にいなくても話題の中心なんだな。

苦い気持ちをハイボールで喉の奥に流し込んだ。
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