イジワル同居人は御曹司!?
「ぎゃ!」

家に到着し、赤い自転車を敷地内のガレージにしまいこもうとして奏さんの愛車にぶつけてしまった。

大事にする、と言った側からぶつけてる。

しかも良く見ると車のボディに薄ら傷がついているし。

「あっちゃー」

私は指先でごしごしと傷跡をこする。あんまり意味ないけど。

車に興味がないので車種はよくわからないけどシルバーの車はちょっと高そうだ。

きっと正直に告白したら怒られるだろう。

こんな小さい傷じゃバレないよね。

私は何事もなかったように自転車を定位置にしまい込んだ。


家に到着し着替えると慌てて夕飯の支度にとりかかる。

朝から着けておいたスペアリブをフライパンに並べて焼く。

着け合わせはモッツァレラチーズとトマトのサラダ。香りづけに庭で栽培しているバジルを和える。

もう一品、あり合わせの野菜でスープを作っておく。

お米が炊きあがった頃に、奏さんが帰って来た。

「おかえりなさーい」

廊下に滑り込み、お出迎えの挨拶をする。

「ただいま」

奏さんは柔らかく目を細める。

「はい」と言って、紙袋を手渡した。

奏さんの勤めるビルのテナントに入っていたタルトで有名な洋菓子店のものだ。

「おみやげですか?」思わず頬が緩む。

「食後に食べよう」

抑揚のない声で言うと奏さんは二階へ上がって行った。
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